第29章 撃沈
「本当。
どこかのヘナチョコエースよりよっぽどカッコイイな」
「ヘ、ヘナチョコって…」
「本当のことだろう。
さ、そろそろ練習再開するぞー」
「「「あっす」」」
タオルやドリンクを回収する。
「波瑠さん、これどうも」
ゲンナリした様子の蛍。
「蛍、左手の中指」
「!」
「先テーピングするからこっち来て。
澤村先輩、すみませんが少し蛍遅れます」
「おう」
「なんで分かったの?」
「動きが不自然だったから。
極わずかにだけど」
「テーピングならわたくしが致しますわ。
それになんですの?
呼び捨てなんてして…図々しいですわ」
図々しいって言われても。
「僕がそう呼べって言ったんだから、別に図々しくないでしょ」
「けっ、蛍くんがですの⁉︎」
「そうだけど」
「で、ではわたくしも」
「無理」
うわ、即答。