第29章 撃沈
「蛍くんにもつきまとって。
身の程知らずにも程があるわ」
いちいち煩いな。
それぞれのボトルに粉と水を入れ、1つずつ丁寧に振っていく。
きちんと混ざりきってないと粉っぽくなって、飲みにくいからな。
「これはわたくしが作りますの」
1本だけ手に取る。
「蛍くんのはわたくしが作りますわ」
なんか心配だけど、ここで口出しして面倒なことになっても嫌だし。
あとでフォロー入れるか。
ドリンクを作り、体育館へと戻る。
お嬢様は相変わらず1本だけしか運ばない。
ドリンクの入れたカゴをステージの上に置き、タオルを取りに行く。
試合の決着はもうすぐつきそうだった。
タオルを準備し終えると、ピーッと試合終了の笛が鳴る。
結果は赤チームの勝利のようだ。
「お疲れ様です」
タオルとドリンクを先輩達から配っていく。
「蛍くん、これどうぞ。
わたくしが作ったドリンクです。
初めてなのでお口に合うか分からないけど…」
「要らない」
そう言うと体育館の隅へと移動した。