第29章 撃沈
「月島も大変だな」
ドリンクを飲みながら少し同情的な目で見つめる澤村先輩。
「コーチもドリンクどうぞ」
「おう、サンキュ」
「蛍くん、皆さんの前だからと照れなくても宜しいんですのよ?」
「要らない」
「このままだと体調を崩されかねないので、ドリンク渡して来ますね」
「え、もう1つ作ってあるの?」
「はい。
蛍も頑固だと思ったので。
それにあのドリンク、多分美味しくないですよ」
「え?」
キョトンとしている清水先輩。
美人な人はそういう表情も綺麗なんだな。
「混ざりきってないですから、あれ」
「あー…確かにあれは美味しくないよな」
あの澤村先輩が苦い顔をしている。
飲んだことあるのか。
「ちゃんと水分摂らないとぶっ倒れるよ。
はい、ドリンク」
「どうも」
素直に受け取ってくれた。
なんか嬉しい。
「なっ、なんでわたくしのは受け取ってくださらないのですか⁉︎」