第29章 撃沈
今頃になって気づくとか、どれだけ鈍感なんだろ。
気分がすっきりしたところで体育館に向かおう。
「あら」
げ…なんで一緒になるのかな。
「ご機嫌よう」
「…どうも」
ワインレッドの学校指定ジャージを着ているお嬢様。
そして手鏡を片手に入念に自分の顔を見ている。
清水先輩はもう来ているみたいだ。
私は学校指定ではなく、配球部の黒いジャージに着替える。
早くこの場から立ち去りたい。
急いで着替えを済ませると、足早に体育館に向かった。
「こんにちは」
「「「おーす」」」
バレー用シューズは、いつでも練習に参加出来るようにと持って来てある。
だから体育館に入る時は体育館用のシューズではなく、バレー用のシューズを履いている。
「マネージャー候補の子、来てた?」
「あ、はい。
更衣室で会いました」
「…そう」
なんか残念そう。
「ツッキー顔色悪いよ、大丈夫?」