第28章 力
「…なんでこんなの持ってるんですか…?」
付箋のついたページで手を止めると、静かに尋ねる。
「あ、あぁ。
こないだ猫又先生に貰ったんだが」
雰囲気の変わった波瑠に戸惑いを隠せない様子。
「本当ですよ、一応」
身体の体温がどんどん奪われていくのが分かる。
「私の力のこと、兄貴のこと、両親のこと。
全部事実です」
「お、おう。そうか」
「あの、全く話についていけないんですが」
代表して澤村先輩が口を開いた。
「言っても良いか?」
「どうぞ。
私、頭を冷やして来ます」
聞きたくない話なので外に出ていることにした。