第28章 力
放課後。
明日の部活からお嬢様が仮入部することを知った私と蛍の気分はだだ下がりだった。
「集合!」
澤村先輩の号令がかかる。
「清水」
名前を呼ばれた清水先輩がコクリと小さく頷き、1歩前に出た。
「明日から入部希望の女の子が1人、仮入部することになったの」
それだけの言葉なのに、清水先輩がなんだか嫌そうな顔をしているような気がした。
「あー、そういう訳だ。
仲良くな」
「「「うっす」」」
「波瑠ちゃん、指導頼むね」
ポン、と両肩に手を置かれた。
「う…はい」
「あれ、清水は教えないの?」
「教えない」
菅原先輩の問いに、あっさり否定で返す。
「うーっす」
「「「ちっす」」」
少し遅れてコーチが入って来た。
「なぁ柏木、この記事本当か?」
来て早々にとある雑誌を取り出す烏養さん。
「…」
それを無言で受け取り、内容を確認する為にページを捲る。