第28章 力
「まず柏木の強さはなんだと思う?」
そう切り出した。
「はいっ!
レシーブも、ブロックも、サーブも、スパイクも、全部凄いから!」
「あー、うん。
それは大前提だが…」
当然の答えが返って来て反応に困る。
「単純に分析の力が凄ェから」
「そう、それだ。影山」
「けどあいつは別に技術が特別高いって訳じゃないっすよ」
「?どういうことだ?」
「確かにレシーブの技術は高ェけど、それ以外は平均より少し上だ」
「でもあのサーブすげーと思うけど」
「あれはただ巧い奴の分析をして、自分にも出来るように工夫してるだけだ。
応用だ」
「つまり、相手を分析してプレーしてるってことか?
この相手にはどう攻撃するのが効果的か、とか?」
「はい」
「ここにはそれをパラメータに表すって書いてあんだが」
「あぁ、それも本当っすよ。
事実中学時代はそれを軸にレギュラー選んでたぐらいですから」
「…それもアリだな」