第28章 力
朝練終了後、改めて清水先輩に土曜日の部活を欠席することを伝えた。
少し残念そうな顔だったけど、分かってくれたみたい。
その後すぐに教室に戻ると、案の定蛍はあのお嬢様に捕まっていた。
凄く嫌そうな空気を出してる。
でも私も関わりたくないし、ここはスルーしとこ。
蛍には悪いけど。
「逃げるんじゃなくて助けてよ」
授業前、やっと自席に戻れた蛍が言う。
「面倒だから嫌」
「僕だって面倒だし、嫌なんだけど」
「なら逃げた私の気持ちも分かるでしょ?」
「一応」
もし蛍が私の立場だったら、私と同様に逃げてたと思う。
「もうすぐ連休に入るけどさ、連休中は普通部活あるの?」
「多分合宿」
「合宿か」
「最近合宿は梟谷グループと一緒にやることが多いから、多分東京」
「遠征ね」
「音駒と、梟谷と、生川と、森然。
それにうちを加えた5校が集まる」
「関東圏が主なんだ」
生川と森然の試合は見たことないな。
「強いところ?」
「生川はサーブに力入れてる。
森然はコンビネーションが主。
あと2つは分かるでしょ」
「サーブ(生川)、レシーブ(音駒)、スパイク(梟谷)、連携(森然)。
それぞれに特化したチームだね」
「まぁね」