第27章 狼
その後続々と先輩達が集まる。
「田中は今日も遅刻かぁ?
でも日向、影山、山口まで遅刻って珍しいな。
なんかあったかな」
「1年3人ならさっきまで外で練習してたみたいですけど。
呼んで来ますか?」
「ん、宜しく」
「はい」
外に居るであろう3人のところへ向かう。
…またか。
絶賛喧嘩中の変人コンビと、必死に仲裁している山口くん。
このままじゃ山口くんが可哀想だし、助けるか。
「喧嘩するなら澤村先輩の前でしてって言ったでしょ」
2人の襟首を掴み、ズルズルと引きずる。
「てめ、離せ」
「何すんの」
「柏木さん!良かった…」
「喧嘩するのは自由だけど、他人に迷惑かけない。
もう朝練始まるから」
「あァ?」
「…黙って歩けって言ってるんだけど」
ドスの効いたような、低い声が響いた。
「ひっ…」
「波瑠…キレんな」
「??」
その声を向けられた張本人達は顔を強張らせ、端から聞いていただけの山口くんは首を傾げた。