第27章 狼
勢いを相殺して打たれたそれは、木に引っ掛かっていたボールにコツンと当たり、2つ共転がるように落ちて来た。
「うはぁっ、すっげー‼︎」
落ちて来たそれを器用に2つ共キャッチすると、目を輝かせた日向。
「っ…」
やば…!
当の私はというと着地の拍子に少しバランスを崩してしまう。
「そんなんじゃ全然締まらないんだけど」
「ごめん、ありがとう」
助かった。
「朝練始まるから急がないと」
これ以上居ると日向に捕まりそうで。
なんとなくだけど、身の危険を感じたから。
蛍に目配せして体育館に向かう。
「おはようございます」
「おぉ、おはよう。
柏木、月島」
「おはよ」
「お、おう」
3年生はすでに来ていて、ストレッチをしていた。
「おはよう、波瑠ちゃん」
「おはようございます」
「はざーっす‼︎
潔子さんっ、朝から会えて嬉しいっす!」
「…」
手を広げる西谷先輩を無視する清水先輩。