第27章 狼
「なんでそう言い切れる訳?」
「ここでそんなことしても蛍にはなんの利益もない。
それにもしする気なら、家でしてるでしょ」
こんなリスクを犯してまで外でやる必要はない。
「ふっ…くく」
拘束を解くと、口元を隠して笑い出した。
「私何か変なこと言った?」
初めて見る蛍の顔が、目に焼きついて離れない。
カッコイイ…。
「男はそういう時、利益じゃなく欲望のまま動く生き物だと思うけど。
外とか中とか関係なく」
「でも蛍はそんなことしない。
それに…蛍になら良いよ、何されても」
「……なんか…腹立つ…」
「どうして?」
「僕ばっか心乱されてるみたいで。
波瑠さん凄い余裕そうだし」
余裕ではないけど。
「それに僕になら何されても良い、とか。
それ他所で言わない方が良いよ。
喰われるから」
喰われる…意味自体は分かってるけど。