第27章 狼
「ふーん。
まぁ、良いや。
送るから」
「1人で平気だから」
「君の意見は聞かないから」
「…」
案外頑固なんだな、蛍って。
蛍と並んで夜道を歩く。
「蛍って背高いね」
「何?今更」
「今改めて思った」
バレー部男子は基本背高い人が多いけど、私の背もそれなりに高いから見上げたりすることはあまりない。
「そういう波瑠さんだって高いでしょ」
「うん、まぁ」
あまり好きじゃないけど。
「波瑠さん、僕のことどう思ってる?」
「え?」
どうって…?
「ちゃんと男だって意識してる?」
「当然」
「本当に?」
ドンッ、と壁に身体を押しつけられた。
「え…?」
「男は皆狼だよ」
抵抗しようとした手を、いとも容易く頭上でまとめ上げた。
振り解こうにも、ビクともしない。
「男の力に敵う訳ないでしょ」
「何する気?」
「さぁ。
自分で考えてみてよ。
この状況をさ」
「蛍はそんなことしないよ」