第27章 狼
「だからそういうところが無防備なんだってば」
寝入ってしまった波瑠を起こさないよう、ソッと布団をかける。
「ん…」
本当無防備。
男として意識されてないみたいで、なんか腹立つ。
波瑠が眠ってから10分程度。
携帯のバイブレーションで目が覚めた。
「やっと起きた?」
「あ、うん。
ごめん、寝ちゃってた」
「良いよ、別に」
そういえば携帯鳴ってたかな。
ベッドから降りて、鞄の中の携帯を探す。
画面を見て、大した内容じゃなかったのであとで返すことにした。
「蛍ってマッサージ上手いんだね」
「別に人並みでしょ」
「まぁ、人にやって貰ったことないから基準が分からないけど。
それより雨止んだかな」
そろそろ帰らないと。
「まぁ、止んだんじゃない?」
「じゃあお暇(イトマ)しようかな。
服は洗って明日返すから」
「別に良いよ、そんなの」
「そういう訳にはいかないの」