第3章 クイーン
3本目、文字通りラストのサーブ。
ジャンプにも、振り下ろす手にも力を入れてコントロールよりも威力を強化した。
「ッッ」
今度は捉えこそしたが、軸がブレ、ボールはあらぬ方向へと飛んで行った。
「あーーっ…悔しい…‼︎」
ふーっ…。
「これでこの話は終わりだよね」
「負けたけど…負けちゃったけど。
でもやって欲しい!」
ガッと手を握られた。
「え…と」
私こういうの苦手なんだけど。
どうしよう。
「お願い」
マネージャーさんにも見つめられてしまった。
「……はい」
根気負け、といったところかな。
正面から直球で来られると、どうしても断れない。
「とりあえずは確保か」
「しかも美人っすからね‼︎」
「おうよ、龍!
俺は2年でリベロの西谷夕だ。
さっきのサーブ凄ぇな!
俺にも打ってくれよ、取ってみてー」
「えぇ…」
「頼むっ」
「…ハイ」
とことん押しに弱い。