第3章 クイーン
飛び上がったらボールの位置を意識し、狙いを定めると勢いを殺すことなく腕を振り下ろす。
ボールは威力や回転が増し、日向くんの正面へと一直線に向かった。
「‼︎」
「「「うわ…!」」」
打ち出されたボールは何に妨げられることもなく、日向くんの足元へと落下した。
「すげー…」
打ち出す時の威圧感、威力、スピード。
そして何よりコントロール。
「も1本!」
そのつもり。
先程と同じサーブを、同じ場所へと繰り出す。
「ッ…うわっ‼︎」
今度は正面から受け止めたが、ボールの勢いに負けて身体が弾かれた。
「いってー…」
「ひ、日向?
だ…大丈夫か?」
「大丈夫っす!」
また一段とその瞳が強くなった。
…この存在感。
レシーブが上手くなった訳でも、私のサーブを見切った訳でもない。
強くなったのは絶対に打ち返すという意思。
それだけで、こんなにも最初と違うのか。