第26章 遭遇
新しくタオルを取りに行ってくれて、それを蛍に預けると慌ただしく玄関をあとにした。
仕事しながらって大変なんだろうな。
「はい。
とりあえず軽く拭けば?」
「ありがとう」
渡されたタオルでとりあえず軽く水滴を拭う。
「早くあがんなよ。
そこに突っ立ってられても迷惑」
「あ、ごめん」
なんか不機嫌…?
蛍のあとに続いていると、ある部屋に通された。
綺麗に整頓された部屋。
ここ、蛍の部屋かな。
「ヘッドホン濡れちゃってたけど平気?」
ああいうのって水ダメだよね。
「そんな安いの使ってないから」
つまり平気ということか。
「風呂入って来たら?
服は適当なの選んで貸すからさ」
「いや、流石にそこまでは」
なんだか申し訳なくなる。
「風邪ひかれたら困るから言ってるんだけど。
それとも何?
君は風邪ひきたい訳?」
「なっ、ば、バカじゃないの」
好んで風邪ひきたい人なんて居るのだろうか。