第26章 遭遇
「邪魔だったらこんなこと言わないし。
早く決めてよ。
どんどん濡れてくんだけど」
「あ…うん。
じゃあお邪魔、しようかな」
「なら早く行くよ」
そのまま手首を引いて走り出す。
蛍、脚速いな。
脚が長いからかな。
掴まれてる手首も暖かい。
きっと身体も暖かいんだろうな。
…って何考えてるんだろうな。
変態か、私は。
こんなくだらないことを考える自分に苦笑していると、あっという間に目的地に着いたらしい。
脚を止めた。
表札にはきちんと「月島」と書かれている。
「ただいま」
蛍はなんの躊躇いもなく玄関を開け、私を招き入れた。
「あら、お帰りなさい。
外雨凄かったでしょ」
タオルを片手に玄関へと現れた女の人。
当たり前だけど、家に親居るんだ。
「部活のマネージャー。
雨宿りだけさせてくから」
「分かったわ。
ご飯も用意してあるし、お風呂も沸かしてあるから。
私これから仕事行って来るから、留守宜しくね」
「うん」