第26章 遭遇
「…?」
ポツン、と水滴が頬に落ちた気がする。
「降るのかな」
なんかとことんついてないな、最近。
降って来る前にとっとと帰ろう、と思っているとシトシトと水滴が天から滴り落ちる。
降って来ちゃったや。
走って帰ろうかな。
「蛍も早く帰った方が良いよ」
「そのつもりだけど」
だよね。
どんどん強まって来る雨の勢い。
「クシュッ…」
寒い…。
流石にジャージだと染みて来るのも早いや。
「じゃあ、また…」
また明日、そう言って走ろうとした瞬間。
「待ちなよ」
パシッと手首を握られた。
「え?」
「家、確か遠いでしょ。
雨落ち着くまで…うちで雨宿りしてけば」
ぶっきらぼうに言われた。
「邪魔じゃない?」
正直その誘いはありがたい。