第3章 クイーン
着替えを済ませて体育館に戻ると、他の部員も着替えを終らせていた。
ケガをしない為にアップをきちんとこなす。
「よーし…絶対返す!」
「場所、コート内ならどこに打っても良い?」
「おうっ。
あ、でも出来るだけ近いのが良い」
「面倒くさい」
「なぁー、やる気あんの?」
「ない。
でもマネージャーはやりたくないから出す」
「…お前月島みたいだな」
「準備出来たなら始めるか」
「あっす!」
互いにコートに脚を踏み入れる。
手首にあった黒いゴムで髪を簡単にまとめると、ボールを受け取った。
「…マジだな、あいつ」
「んだよ影山ー、ビビッてんのか?」
田中が煽る。
「はい」
「はい、ってお前…」
「行くよ、日向くん」
鋭くなった眼光を、目の前の相手に向ける。
「っしゃ来ぉぉいっ」
ボールを高く上げ、助走をつけ、強く踏み切って高く飛んだ。
シューズと床が摩擦を起こし、キュッと鳴く。