第23章 壊れた心
「やっぱり手が震えてるとボールに回転がかかっちゃうのかな」
「あとはボールの上げ方。
今は焦って上げてるから、多分そこもあるんじゃないかな。
ほとんど憶測に近いけどね」
「平常心か…」
「山口!
緊張なら今までで1番怖かったことを考えれば良いんだって!
そうすれば緊張なんてどうでも良くなるぞー。
って旭さんが言ってた」
「怖かったこと…?
………なんか大丈夫な気がして来た…」
一体どんなことを思い浮かべたのか。
若干顔が青くなっている。
「もう1本」
「良いよ」
目の色が変わった。
覚悟のこもった強い瞳。
「ふーっ…」
先程よりも長く息を吐き出す。
これは確実に来るな。
身構え過ぎないよう、肩の力を抜いて構える。
「ふっ」
打ち出されたそれはネットスレスレの直線方向へフヨフヨして飛んで来る。
軌道の予測が…出来ない。
落ち着いただけでこんなにも変わるのか。