第18章 勝ちの価値
「あれ?」
ミニゲームって聞いてたのに、いつの間にか6対6になっている。
これじゃ通常通りの練習試合だ。
「危なっ…」
凄い勢いでボールが飛んで来た。
両手でドリンクを抱えていたから、しゃがんで避けることにした。
…頭スレスレ。
当たってたら痛かっただろうな。
「ごめん柏木さん!大丈夫?」
山口くんの焦った声が聞こえた。
「大丈夫、躱したから。
大方怖くて逃げたんでしょ」
「うっ…うん」
近寄りながら会話を続ける。
「まぁ、木兎さんのスパイクなら逃げたくなるのも分からなくもないけど」
「え、なんで分かるの?」
「威力見ればね。
弾くかバウンドした筈のボールの威力がそれ程相殺されてなかったから」
普通分かると思うんだけど。
「ドリンクここに置いておくんで、好きに飲んでください」
ドリンクをイスの上に置く。
「リエーフくん、少し借りても良いですか?」
「俺っすか?」