第1章 出逢い
「お前は、長州とかそういう連中と関係あんのか?名前は?」
ちょ、直球だな...。
「ちょ、長州?...私は江戸から京に...たっ旅をしに来たんです。...えっと名前はお春と言います。」
よかった...俺らの敵じゃねぇんだよな。
「お春、お前はただのガキか?」
ただのガキじゃなかったら、怪我してねぇだろ。
「私は商人の娘です。......その...親が嫌で......い、家出を.........。」
「ただの家出娘か......はぁ...。面倒臭ぇ奴連れて来やがったな、平助。」
こ...こえぇ...。
「そ、そんなに怒んないでくれよっ!怪我してたんだから!!」
眉間に皺を寄せて、睨んでくる...。お...鬼...。
「まぁ、いいじゃないか、トシ!怪我が治るまで、此処に置いてやろう!」
「そうは言ってもな、近藤さん、此処は新選組の屯所だぞ?」
「隊士達も事情を話せばわかってくれるだろう?」
近藤さんありがとう。無駄な殺生はしたくねぇからな!
「わかったよ、近藤さん。怪我が治るまでだぞ!」
「あ、ありがとうございます!」
お春は、満面の笑みだ。もう怖くねぇのか?
でもよかった、殺さないですんで...。
「お春!俺は藤堂平助ってんだ!平助でいいぞ!」
「へ、平助さん?」
俺は笑顔を作って答えた。
「俺は永倉新八だ!宜しくな!」
「原田左之助だ。宜しくな」
「斎藤一」
「俺は局長の近藤勇だ。で、こっちが土方歳三だ!」
「宜しくな。」
「雪村千鶴です!宜しくね、お春ちゃん!」
「僕は沖田総司。近藤さんに迷惑かけたら容赦しないから。」
最後に総司が挨拶した。
なんでそんなこと言うかなー、総司。
「総司!お春を怖がらせんなよ!」
お春は俺の手を強く握って、必死で笑顔を作っていた。