第1章 出逢い
「おいお前ら、何してんだよ!刀しまえって」
「うるせぇ!!」
「...きゃ!」
おい嘘だろ。
巡回中、人が沢山いる道中で、2人の男が抜刀する騒動が起きていた。
1人の男が刀を横に振ったせいで、関係ねぇ奴が怪我した。
「しっ、新選組!?...くそっ!!」
2人の男は俺達の隊服を見て、逃げていった。
俺は組の奴らにあの2人を捕まえるよう指示し、この騒動に巻き込まれて怪我した奴に、声をかけた。
「大丈夫か?今、屯所に連れて行って治療してやっから。......立てるか?」
怪我したのは女で、俺と同い歳くらいだろう。
腕からすげー血が出てて、痛々しい...。
「あ、はい。ありがとうございます」
俺は、その腕に触れないようにし、支えてやり、立たせた。
傷は相当深そうだ。
本当に大丈夫なのか?
そっと顔を覗くと、痛みで顔を歪ませている。
「...ごめんな」
その顔を見ていると謝りたくなった。
「どうして?貴方は何も悪くないでしょう?...近くにいた私が悪いんです」
あの2人じゃなくて、自分が悪い...てか...
「いや、でもさぁ......俺も近くにいるお前に気付くべきだったよ。...ごめん」
「貴方のせいではないです。これ、くらっ...だ、じょう.........」
ドサ。
「おい!?」
そいつは急に、さっきよりも俺に体重を預けてきた。
「はぁ...はぁ......」
「大丈夫か!?」
顔を見ると、汗を沢山かいていて、苦しそうな表情を浮かべていた。
傷のせいで熱が上がってきたのか?
「すみ...ま、せんっ.........くっ」
「ぁあっ!いいよ、そんなん!!急いで連れてってやるから、眠ってろ!!」
「はい...」
俺はそいつを横抱きにして、あまり揺れないようにし、屯所へ急いだ。