第2章 新しい仲間
羅刹になって死んだことになってる山南さんのことが、伊東さんにバレた。
お春にも...羅刹の存在を知られた。
「すまねぇが、お春。お前を帰すことが出来なくなった。死ぬか一生此処から出られないのとどっちがいい?選ばせてやる。
もし、生きる方を選ぶなら、俺達はお前を死ぬ気で守ってやる。お前はもう俺達の大切な仲間になっちまった...。
俺達の為にも生きる方を選んでくれるのを願ってる。」
お春に出会って、そんな長い時間は経ってないけど、仲間だと思わせるには充分な時間だった。
お春はこんな俺達でも、どんな時でも信じてくれた。
皆のことを常に思っていてくれた。
だから頼む、死ぬなんて言わないでくれ......俺はお前を殺したくねぇ!!
「私は...私は死にたくないです...。皆さんと生きたいです。皆さんのことが大好きだから!!!」
「......ありがとう、お春。...どんな事があっても生きてくれ!守るから!!」
「平助さん...。」
お春は、涙目になって俺を見つめた。
「お春、誰にもあの事は言うんじゃねぇぞ。」
「はい、わかってます。」
俺は嘘を吐いた。これからお前を守ることなんて出来ない。
俺はもう此処からいなくなるから...。
千鶴もお春も守ってやれない。傍にいることが出来ない。
伊東さんが隊を分離して、御陵衛士を作る。
伊東さんを新選組に誘ったのは俺だ。
だから俺も伊東さんに付いて行く。
きっと、新選組と御陵衛士は会うことが出来なくなる。
ごめんな、千鶴、お春。
もっと千鶴と一緒にいたかった...想いを伝えたかった...。
千鶴は土方さんと一緒になってくれるよな...。
千鶴と愛し合ってみたかったなぁ...。
触れたかったなぁ...。