第6章 書類配りIV
「先に手を出したのはおたくの隊士です。一方的に因縁を付けられて迷惑してるのはこっちですよ」
「あの隊士達に謝らせましょう!先に手を出したのは彼らです。暴力を振るおうとするなんて許されません!」
「その必要はねぇ」
「え?」
流歌を侮辱した奴ら全員をこの場に連れて来て謝罪させようと執務室を出ようとした乱菊だったが日番谷に引き止められる。
「お前が冴島に何か酷い事を言ったんだろ。だからあいつらはお前を注意した。それでも反省しないお前の態度についカッとなって手を上げそうになった。そんなところだろ」
「な、何言ってるんですか!何の根拠があって流歌を疑ってるんです!?」
「松本…お前はそいつの肩を持つのか?」
「あたしは自分の目で見たものしか信じません。隊長こそ、本当にこの子が悪意を以って冴島を刺したと思ってるんですか?」
「他にどんな理由がある?」
苛立ちを浮かべながら日番谷は素っ気なく答える。乱菊は何か言いたそうに口を開くが、その前に日番谷が判を押した書類を流歌に突きつける。
「書類に判は押した。お前がこれ以上ここに居続ける理由はねぇはずだ。とっとと出て行け」
「言われなくても出て行きますよ」
バッと強引に書類を奪い取り、日番谷を睨みつけた。そして不機嫌な顔のまま扉に向かって歩こうとすれば乱菊に呼び止められる。
「流歌!本当に気をつけなさいよ!あんたが傷付けば悲しむ人がいるんだから!あまり無茶しないように過ごしなさい!」
「お心遣い感謝します」
心配する乱菊に軽く頭を下げ、流歌は執務室を出て行った。
「隊長、さっきのは何ですか」
「何がだ」
「あの子を非難するようなことばかり言って!流歌は悪い子じゃありません!隊長は誤解してるんですよ!」
「誤解してるのはお前だ。あいつが本当に良い奴だと思うか?俺は思えない」
「何故ですか…」
「心から反省してねえんだよ。冴島を刺したことに対しての罪悪感がねぇ。あんな奴が死神を志したとはな…護廷の恥だ」
「そんなこと…!」
「さっさと仕事に戻れ」
冷たく言い放った日番谷に乱菊は納得のいかない表情を浮かべていた…。
next…