第57章 Epilogue-それは世界で一番の-
「夢愛のお迎え頼んじゃってすみません」
「気にすんな。俺が忙しくて迎えに行ってやれない時はお前に頼んでるんだ。お互い様だろ」
「今日も少し遅くなりそうなので夢愛と先に寝てて下さいね」
「あんま頑張り過ぎるなよ」
「冬獅郎さんこそ」
「お前よりは制御してる」
「あはは、なら私も程々に頑張ります」
十番隊舎が見えた位置で二人は立ち止まる。
「行ってらっしゃい」
「行ってくる」
お互いに笑みを浮かべる。
日番谷は十番隊へ、梨央は零番隊へ。
それぞれの隊舎に向かって別れ、歩き出した。
◇◆◇
書類を届けに一番隊に行くと京楽がニコニコと笑みを浮かべていた。
「何ですか総隊長その笑みは。
少し不気味なんですが…」
「不気味って酷いなァ。
せっかく早報を持ってきてあげたのに」
「早報?」
「夢愛ちゃん。
無事に合格したみたいだよ」
「!」
「しかも上位の成績を残しての合格だってさ」
夢愛が合格したことに嬉しそうな笑みを浮かべる。
「そうですか」
「ホッとした?」
「そりゃ頑張ってましたから、あの子」
「ちなみに阿散井くんとルキアちゃんのとこも受かったみたいだよ」
「そうなんですか」
「まだ二人は面識ナシ?」
「面識はあるんじゃないでしょうか。
でも話したことはないと思います」
「やっぱり育て方が良いんだねぇ」
「どこの家庭も育て方は一緒だと思いますよ」
「頑張ったご褒美をあげないとね」
「そうですね。あの子に聞いてみます」
書類に判子を押した京楽は梨央を見る。
「すっかり母親の顔だね」
「そうですか?」
「うん。とっても優しい顔だよ」
「でも時には厳しく接することも愛情です」
「夢愛ちゃんなら大丈夫だよ。だって君と日番谷くんの子だもの。親の背中を見て子供は育つ。将来が楽しみだね」
笑んだ梨央は京楽に会釈をして一番隊を後にした。
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