第54章 Beloved-素敵な愛の育て方-
「これは…?」
「幸福花っていう花を使って作った香り袋だよ。改めて婚姻おめでとう。ルキア、恋次くん」
驚いた二人は目を見開いた。雛森と乱菊も同じ顔をしている。
「お前…もしかして記憶が…?」
「うん」
「じゃあ…私達のことも…」
「ちゃんと覚えてるよ」
まだ驚いたままの四人に笑顔で言った。
「三年ぶりだね」
すると涙ぐんだルキアが怒った顔で言う。
「たわけ!思い出すのが遅い!」
「ごめん」
「本当に梨央なの…?」
「信じられませんか?」
「いいえ、信じるわ」
乱菊も涙ぐみながら笑う。
「でもどうして…」
「お前は消えた筈じゃ…」
「その辺も説明しないとね」
梨央は四人に全てを告白した。真実を話し終えると四人は驚きはしたものの、悲しい表情を浮かべていた。
「高峰が…」
「そんな…」
「寂しくないの?」
「寂しいよ」
「!」
「生まれた瞬間からずっと一緒だった人がもういないんだもん。この世の何処を探しても蒼生は見つからない。でもね、彼の分まで生きるって決めたの。だから大丈夫だよ」
「そうか…」
「日番谷隊長は知ってるの?」
「はい、さっきまで一緒でした」
それを聞いて乱菊は微笑む。
「やっぱり運命の赤い糸は本物ね」
「そのようです」
「迷信なんかじゃない。それをあんたと隊長が証明したのよ。良かったじゃない、あんたの想いが実を結んで」
「乱菊さんには色々とお世話になりました」
「いいのよ。次は二人の結婚式を楽しみにしてるから」
「!!」
「私も楽しみ!」
「も、桃ちゃん…」
「日番谷隊長と梨央の挙式か…」
「えーと…」
「その時は盛大に祝ってやるからな」
「恋次くんは楽しそうだね」
「一護達もきっと喜ぶぜ」
その名前に懐かしさを感じた。
「本当におめでとう」
「ありがとう梨央」
「幸せになってね」
「ありがとな」
全員で笑いあった。
その数日後、多くの死神達に見守られる中、ルキアと恋次の結婚式が盛大に執り行われたのだった。
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