第52章 Reunion-×××を望んだ少女は-
「でも髪の色や瞳の色は同じなんです!
左目に泣き黒子だってありました!」
「雰囲気や口調からして本人かどうかは疑わしいけどね…」
「そんな…だって梨央ちゃんは…」
雛森はチラッと日番谷を見る。
二人の話を聞いて驚きを隠せない日番谷は言葉を発することも忘れ、目を見開かせて固まっていた。
「吉良が行ったのって霊術院でしょ?もし仮に本人だとしたら何で霊術院なんかに通ってんのよ」
「そんなの僕に聞かれても知りませんよ」
「けど本人だっていう確証はねえんだろ?」
「はい…梨央さんは僕を知らない様子でした」
「やっぱり別人なんじゃないの?」
「でもあそこまで似過ぎてると本人にしか見えなくて…」
「…僕もそう思います」
「別人だろ」
「!」
「シロちゃん…」
雛森は心配そうな顔で日番谷を見る。
「あいつはもうこの世にはいねぇ。それはお前らも知ってる筈だ。罪を犯した代償を払って世界から消えた。だからお前らが見たそいつは別人だ」
「でも…」
花太郎が何かを言いかけると、日番谷は小さくため息をついて、座卓に肘を付けると、その掌に顎を乗せ、視線を逸らす。
まるで“それ以上は聞きたくない”とでも言うかのように翡翠の瞳が悲しそうに揺れる。
「彼女に会えばわかると思うんです!」
「おい山田…」
「こうは考えられませんか?彼女は本当に梨央さんで何らかの理由で記憶を無くしてるとしたら…」
「!」
それに反応したのは日番谷だ。
だがすぐに諦めたような目をする。
「その辺にしとけ」
花太郎の話を止めたのは一角だった。
一角は花太郎に諭す様に視線を日番谷に向ける。
それに気付いた花太郎は慌てて頭を下げた。
「す、すみません!!生意気な事を言いました!!」
「……………」
「この話はもうやめましょ。今日はおめでたい日なんだし」
「そうですよ。さ、料理も来たことだし、気を取り直して祝杯しましょう!」
乱菊と雛森が場の空気を変えるも、ただ一人、日番谷だけはみんなの輪から外れ、眉間を寄せたまま、悲しい顔を浮かべていた。
next…