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✱でもきっとハッピーエンド✱【BLEACH】

第51章 Historia-そして物語は完結する。-




「一度でいい…もし許されるのなら…私がお前に触れる事を…許してくれ…」



子供が母親を求めるように、ハッシュヴァルトは切なげに詩調の名前を囁く。



「(本当に…不器用なヒト)」



寡黙な性格のせいか



あまり多くは語らず



感情の変化も顔に出さない



だからこそ



わからない



不器用でもいい



今みたいに言葉で



伝えてくれないと



あんたが何を言いたいのか



理解してあげられない───……




「あたしは仲間以外に触れられるのは生理的に受け付けないの。肌に触れられるだけで虫唾が走る」



「…そう、か…」



ズキリと痛む心を隠し、ハッシュヴァルトは伸ばそうとした手を止める。



「でも…あんたに触れられるのは…不思議と嫌じゃないわ…」



「!」



吃る彼女を見ると頬が少し赤らんでいた。相変わらずツンツンしてる言い方は変わらないが…それでもハッシュヴァルトの表情に笑みが溢れる。



「──そうか。」



安心するような声を漏らし、手を伸ばす。今度は躊躇う事なく、そっと詩調の頬に触れる。



「初めて触れてくれたわね」



「初めて…だったか…?」



「ええ」



詩調は優しく笑いながらハッシュヴァルトの手に自分の手を重ねる。



「(この人の手…こんなに大きくて…とても温かい…)」



その温もりを感じながらゆっくりと目を閉じる。



「(あぁ…なんて残酷な運命なのかしら。あたし達はただ…滅却師でも無く、死神でも無く、普通に出会いたかっただけなのに…)」



泣きたくなる気持ちをグッと堪えた。



「…お前に…伝えたい事が…あるんだ」



ハッシュヴァルトの言葉に閉じていた目を開く。



「伝えたいこと?」



「聞いて…くれるか…?」



詩調は頷いて答える。



「お前は自分の運命を…呪ったな…生まれてきたことを…後悔し…世界を…憎んだ…」



「…そうね。理不尽な世界を憎んだわ。そしてあたし自身の運命すら呪った。この…髪色のせいで…。大嫌いよ、この髪が。」



憎しげに顔をしかめ、自身の赤い髪に触れる。



「そうだ…お前は自分の髪色が…嫌いだと言った。…だが…私は…お前の髪を見た時…その美しさに…一瞬で目を奪われたんだ…」



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