第46章 Zero-零を受け継ぐ者たち-
【霊王宮】
ビュンッ
ビュンッ
ビュンッ
「………………」
ユーハバッハと対峙している琉生。
始解した刀、雷鳴鬼で先程から何度も斬り掛かってはいるが、何故かその刃が目の前にいるユーハバッハに届かない。
「(…どういう事だ…一太刀も…当たんねェ───……)」
ポタリと汗が床に落ちる。
「…手詰まりか。
ならば通して貰おう」
琉生の横を三人は通り過ぎる。
「だから…通さねえって言ってんスよ」
刀を両手に持ち替え、床に突き刺す。
「“雷撃無双『雷光散珠』”」
刀から発せられた電撃が分散する。
閃光の様に鋭い動きをしてジグザグ道を進むと三人の元に一直線に向かう。
「(捉えた───……!!)」
気付かない三人に琉生は確信した。
だが…ユーハバッハは唇の端を上げて笑う。
「!!」
電撃が三人に当たる寸前で消えた。
「オレの攻撃が…“躱された”…?」
「通らせて貰うぞ」
唖然とする琉生に三人は歩みを進める。
「っ…ナメんじゃねえ!!!」
振り向き様に刀を勢い良く振った。
電気を纏った斬撃は三人に当たって大きな爆発を立てる。
「ハァハァ…ッ」
力を使った所為で霊圧の消耗がいつもより激しかった。
「(それぐらい一筋縄ではいかない相手ってコトか…)」
琉生は体を屈めて刀を持つ手を膝に起き、もう片方の手で流れ落ちる汗を拭う。
「やった…のか?」
もくもくと煙が立つ。
三人の姿は確認することができない。
「……………」
琉生はジッと煙の中を見つめる。
バァン!!
「!!」
凄まじい強風が吹き荒れた。
「まさか…」
琉生の視線の先には…無傷の三人がいた。
「…化け物め」
ユーハバッハは振り返る事も無く、階段を登ろうとする。
「だからあんたは甘いのよ」
琉生は視線を階段の上に向けた。
そこには不機嫌そうな顔をした詩調が腰に手を当て立っている。
「そんなんで殺せると思ってんの。
もっと死ぬ気で頑張りなさいよ」
「…いやァ、返す言葉もないっス」
琉生は苦笑する。
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