第44章 Rex-斬月の秘密-
ガンッ
ガンッ
「…何を想って見てる?」
「…イヤ、眩しくねーのかなと…」
「慣れてんだよこんなのは。それに…これくらい派手にやらねえとお前の斬魄刀を上手く打ち直せねえだろうが」
金槌を振り上げる。
「…気付いてるか?」
「?」
「この浅打が触れた瞬間に白く染まった理由に…」
「…いや…」
「こう思ったんじゃねえか?
“俺の中の虚みたいだ”」
「………………」
「そうコイツはお前の中の“虚”だ。さっきの浅打にはこの“斬魄刀”を引き出すきっかけになってもらった。意味がわからないか?この“虚”こそがお前の斬魄刀だって言ってんだよ」
蒼生の言葉に一護は驚きの色を見せる。
「“ホワイト”と名付けられた藍染の造った虚は数多くの死神の魂魄を重ねて造られていた。それは奇しくもウチの浅打達の成り立ちと一緒だ。その虚がお前の中に入り、お前本来の死神の力と溶け合い、お前の“斬魄刀”となった」
「…待ってくれよ、それじゃあ…」
「そうお前は知ってるハズだ。“今迄お前の魂の内側で斬魄刀のフリをしていた男の事を”!」
すると一護の前に斬月が姿を現わす。
その瞬間、蒼生は訝しげに眉を寄せ、憎しみに満ちた表情と怒りに染まる瞳で斬月を睨み付けた。
「…斬月のおっさん…」
《…黒崎、お前はその男を知っている。》
「…当たり前だろ。
この人は斬月─────」
《違う!!》
蒼生は声を荒げる。
《そうじゃねえ、よく見ろ。》
《お前はその男をつい最近、目の前で実際にその眼で見ているハズだ。》
《尸魂界を蹂躙する敵として!!》
一護は顔を強張らせた。
気付いたのだ
斬月の正体に─────。
《“死神の力”じゃ無いその男はお前の中の“滅却師の力”。》
《その姿は千年前のユーハバッハだ。》
驚く一護に蒼生は言葉を続けた。
《そして…そいつは…》
《千年前、俺達の里を滅茶苦茶にした張本人で》
《俺と梨央の母親を…》
《殺した男だ──────。》
next…
[千年血戦編:完結]
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