第43章 Around-宮殿巡り-
「滅却師の襲撃!?」
「ある日突然、滅却師が里を攻めてきたらしいっス。それが原因で里は崩壊し、母親までも命を落とした。そう言ってたっス」
「……………」
「オレ達の絆は本物だけど、みんなの生い立ちについては触れないようにしてるんスよ。いくら仲間といえ、触れられたくない過去があるスからね…」
「(今の話が本当なら、俺が見たものは…滅却師があいつらの里を襲撃した過去だった?そしてあいつらの母親は滅却師に殺された。)」
「唯一オレ達の過去を知ってんのは、梨央チャンと蒼生クンぐらいスかね」
「なぁ…梨央は…滅却師を憎んでるのか?」
「!」
その質問に琉生は正直に告白する。
「憎んでるっスよ。大事な母親を滅却師に殺されたんス」
「……………」
一護の脳裏に雨竜の姿が思い浮かんだ。
「(ならあいつは石田のことも…)」
「確か一護クンの知り合いにも滅却師がいたスよね?」
「あぁ…」
「じゃあ勘違いしないでほしいんスけど…梨央チャンは滅却師を憎んでるだけで、その子のことを憎いと思ったことは一度もないっスから」
「!」
「むしろ友達だと思ってる。滅却師とその子は別なんスよ。その子は滅却師ではあるけど、梨央チャンの大切な友達っス。一護クンも知ってるっしょ?」
「あァ。あいつは石田が滅却師だからって嫌いになったりしねえからな」
「そういうコト」
「(馬鹿なこと考えてんじゃねーよ。あいつは見た目で人を判断しねーし、そいつが何者であろうと態度を変えたりしない。最初から知ってんだろうが。)」
一護は自分を咎めた。
「梨央チャンのこと、随分と気に掛けてるんスね」
「…何だよ、その気色悪ィ笑みは」
琉生はニヤニヤとした顔で一護を見ている。
「もしかして…梨央チャンのこと、恋愛的な意味で好いてるんスか?」
「は!?」
「そっかー。いやーうちの隊長はオレと同じくらいモテモテっスね〜」
「おい待て。何がどう解釈された?」
「え、だって一護クンが梨央チャンを好きなら、三角関係も面白そうだと思って」
「三角関係?」
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