第43章 Around-宮殿巡り-
「なんなんだこいつ!」
「改めて聞いてるこっちも反吐が出るほど清々しいな」
「自分に酔ってんのよ。ナルシストが。」
「くたばればいいのにね〜」
「だって事実じゃないスか。オレってほら、世界中の女の子に愛される為に生まれてきたようなもんスから☆」
「(まぁ顔だけはいいからな、こいつ。)」
キラキラオーラを撒き散らせながら自分に酔い痴れる琉生を見ながら蒼生は思った。高身長に加えて端正な顔立ちの美男子。
外を歩けば、その美形に魅了された女性達から声を掛けられ、満更でもない琉生はそれにかこつけて連絡先を聞き出しデートに誘う。モデル並みのプロポーションと女性を口説く為の極意を身につけている為、未だに女性関係で失敗したことがなく、それがまた腹立たしい───と梨央達は内心思っている。
「いやぁ〜モテるって大変スね!」
「………………」
「待て待ていっちー。琉生を殴りたい気持ちはわかる。私も殴りたい。だが抑えろ。私も我慢する」
拳を構え出す一護を冷静にさせて止めさせる。
「俺アイツ嫌いだわ…」
「まあまあ。彼が美形なのは事実だからな。認めたくはないが女性達に凄く人気がある。故に彼も天狗が続いてる最中なんだ」
一護はうんざり顔で琉生を見る。
「まぁ…私としては?その天狗の鼻を根本からバキバキにへし折りたいと思ってるんだけどね?琉生はああ見えて心がナイーブなんだ。慎重に折ってやらないと立ち直れないかもしれないでしょう?」
ニコォ…と黒い笑みを浮かべた梨央に一護は全身を恐怖で震わせた。
「(コイツもマジで容赦ねえからな。つーか相変わらず笑った顔怖え…。)」
琉生を見てニコニコと笑う梨央の顔はどこか威圧感がある。それを間近で見た一護は苦笑するしかなかった。
「でも根は良い奴なんだよ」
「ホントかよ…」
「嫌いにならないでやって」
「まぁ…腹は立つけど…ノリとかは啓吾に似てるし…何とかやっていけんだろ」
「そうだと有り難い」
「それにお前の仲間なんだろ」
「うん」
「なら悪い奴じゃねえのは当たり前だしな」
「!」
梨央は嬉しそうに笑う。
「ありがとう」
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