第42章 Tandem-最期の言葉-
『明日も明後日もずっと!私達の傍にいるの!』
『……………』
『もっと一緒にいたいよぉ〜!』
梨央の泣く姿を見た千歳と蓮杜もつられて、ふにゃりと顔を歪めて泣き顔を浮かべる。
『梨央…お前は母様に似て泣き虫でとても優しい子だ。だからこそ、お前にはこの先もずっと生きててほしいんだ』
『ひっく…』
『泣かないでくれ。せっかくの美人が台無しじゃないか。お前は笑った方が可愛いんだぞ』
『…母様は強いんでしょ?強いから死なないもん。だから早くこわい狼を倒してよ…っ』
罪禍は困ったような顔で笑う。
『…そろそろ母親離れしなくてはな』
『!』
『…な?』
『私がワガママだと母様困る…?』
『そうだなぁ…お前のワガママなら何でも聞いてやりたいが…今回ばかりは困るな…』
『……………』
『梨央、約束してくれ』
『約束?』
『さっきも言ったがお前は優しい子だ。だから友達を大事にしろ。もし困ってる人がいたら助けてやるんだ。絶対に友達や仲間を見捨ててはいけないし、傷つけてもいけない』
『友達…。千歳と蓮杜のこと?』
『そうだな。二人は友達でお前達の幼馴染だ。だがお前がもっと世界を知れば、この子達以外にも友と呼べる存在が出来るだろう』
『新しいお友達…』
『もし友達や仲間を傷付ける奴がいたらお前の力でみんなを護れ。泣いてる人がいたら傍に寄り添ってやれ。ただし、あまり踏み込んではいけないよ。“距離感”を保て。』
『うぅん…難しい…』
『深く考えずとも成長すれば解る。ただ覚えてほしいのは…友達や仲間を傷付ける奴がいたらお前が護ってやれ。今はそれでいい』
『私に…護れる?私…母様みたいに強くないよ?』
『大丈夫だ。お前ならできる。なんたってお前は…私の自慢の娘なんだから』
『……………』
罪禍の思いを聞き、指輪を眺める。そしてそれを手に取った。
『が…頑張る、ぅ…。母様との約束…守るっ。だ、から…ひっく…いい、よ…。母様と…ひっく…お別れ、する…っ!』
『!』
『ひっく…うぅ…』
『あぁ…ありがとう』
罪禍は涙を潤ませて梨央を抱きしめた。
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