第37章 Sors-定められた運命-
《気付かなかったの!?》
《「てきをたおした!」じゃなくて「しかしかわされてしまった!」だよ!》
峰打ちで気絶したはずの雪緒の声が聞こえた。
「…これは…」
《「画面外の侵略者(デジタル・ラジアル・インヴェイダーズ)」》
「(画面の外にいる私達は奴らの幻影を見てたのか…)」
「…見てたろ?僕達は、黒崎一護、君の完現術を貰ったんだよ。“能力を身に纏い、外へと放出する完現術をね”。君のお陰で僕の[インヴェイダーズ・マスト・ダイ]は画面の外にまで侵略地を拡大できたのさ」
ドンッ
「!」
雪緒の体が刀で貫かれた。
斬られた雪緒の首根っこを掴む斑目。
「…甘めえんだよ一護、この期に及んで峰打ちで戦いを終わらせようとしてんじゃねえぞ。キッチリ殺せ!」
ダランと体の力が抜け動かなくなった雪緒。
「それが戦いを始めたこいつらへの義理だ」
油断していた斑目の背後から何かが忍び寄る。
「危な…っ」
それに逸早く気付いた梨央が鞘から刀を引き抜いて斑目に駆け寄ろうとしたが、彼女よりも瞬時に反応した日番谷が斑目の背後に現れ、雪緒の能力を斬り捨てた。
「気を抜くな斑目!」
「…すみません」
「…やるね、ボーナスポイントあげようか?」
「いらねえよ」
その時、斑目の頭上目掛けて何者かが拳を構え落下して来た。
「!」
ガン!
気配を察知して鬼灯丸を地面にぶっ刺し、ギリギリで飛び退いて回避した斑目の視線の先にいたのは…獅子河原だった。
「…何だてめえは?」
斑目は訝しげに獅子河原を見る。
「…どうやらみんな上手い具合に分かれたみたいだね。それじゃ“部屋分け”してみようか」
雪緒の能力で漆黒の空間が出現した。
「日番谷隊長!」
梨央は愛する恋人の名を呼ぶ。
「大丈夫だ、心配すんな」
それは安心させる声だった。
「そっちは任せたぜ」
「はい!」
微笑を浮かべた日番谷に梨央は頷いて答えた。
そして
それぞれの場所で
生死をかけた戦いが
今、始まる─────。
next…