第31章 ホウギョク ト ヒミツ
焦げた腕がひび割れている────
───これは焼き焦がした我が身を触媒としてのみ発動できる禁術
九十六番 犠牲破道“一刀火葬”
「(侮っていた。私の術中で焼け焦げた体を即座に棄てて武器にするとは───)」
「月牙…天衝!!!!」
建物が崩壊する程の威力が襲う。
左腕を斬られてバランスを崩す藍染に一護は攻撃を与える隙を許さない。
「まだだぜ」
激しい攻防が続く中、一護の振りかざす刀を自身の剣で塞ぎ止めた藍染。その口許には微かな笑みが滲み出ている。
「…何が可笑しい」
「…殺し損ねた黒崎一護。
今のが私の最後の隙だ」
「充分だ、傷を負わせた」
「…傷?こんなものが傷だと?」
「(───超速再生!)」
「超速再生じゃあ無い。
私が虚化などすると思うか」
ギィン!
藍染の攻撃を咄嗟に刀で塞いで跳ね返す。
「───これは主に対する防御本能だ」
「…どういう意味だ」
藍染は己の胸に埋め込まれている“それ”を一護に見せる。
「───それは───……」
「…崩玉だ」
傷口を手でなぞる。
「これが君の霊圧か。素晴らしい、よく成長したものだ。私の思い通りに」
「───……何……!?」
「君は朽木ルキアと出会い、石田雨竜との戦いを経て死神としての力に目覚めた。阿散井恋次との戦いで自らの斬魄刀の力を知り、更木剣八との戦いで卍解への足掛かりを掴み、朽木白哉との戦いで虚化へと踏み出した」
一護は目を見開く。
「そして最強の死神の異名を持つ仁科梨央との出会いが更に君を強くした。グリムジョーとの戦いで虚化をマスターし、ウルキオラとの戦いで───どうやらそれ以上の力を手に入れた」
藍染の言葉に衝撃を受けた一護は唖然とする。
「黒崎一護。
君の今迄の戦いは全て私の掌の上だ」
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