第24章 セカイ ト ヤクメ
「…言っただろうが。決戦が冬だと決まった時点でジジイから浦原喜助に“幾つか”指令が出されてたってよ。一つ目の指令は隊長格を虚圏へ送ること。二つ目の指令は空座町で護廷十三隊全隊長格を戦闘可能にすることだ」
「それじゃあ…今護廷十三隊は…」
「既に展開を終えた頃だろうな」
「無茶だ…!空座町で戦闘…!?隊長格の力でそんな事したら空座町はどうなる…!?それこそ形も残らない廃墟になっちまう…!」
「…言った筈だ。“戦闘可能にする”こと、それが指令だと。ただ現世に隊長格を展開させることを“戦闘可能にする”とは言わねえ」
「ああ、なるほど。“転界結柱”ですね?」
「転界結柱?」
「空座町を戦闘可能に作り変えるということだよ。その為に浦原は四点のポイントを結ぶことで半径一霊里に及ぶ巨大な穿界門となる“転界結柱”という装置を作り上げ、それを空座町の四方に設置した」
「それと同時に技術開発局に“空座町の精巧な複製を流魂街の外れに作ってほしい”と依頼した。涅の野郎も苦労しただろうな」
「この程度で苦労するならあの人は技術開発局の二代目局長失格ですね。浦原なら簡単にやってのけたはずです。そこがあの人が師を超えられない理由ですよ。まぁ…完璧を求める涅隊長にはまだ早かったかもしれませんねぇ」
鼻で笑い飛ばした。
「転界結柱が穿界門と異なるのは包囲したものを尸魂界にある“別のものと移し替える”ことができるということ。つまりこれを使って────流魂街の外れに空座町を“全てそのまま”転送したんだ」
「住民達は…どうしたんだ…?」
「眠らせて街と一緒に尸魂界へ送った」
「なら今あの地にあるのは人一人居ない空座町のレプリカ。隊長格の戦いで破壊されようと何の問題も無いってコトだ」
「…剣八、あんたさっき言ったよな。
空座町を護んのが俺の役目だって」
ふと遠くの方向を見つめる一護。
ザワッ
「(この霊圧…ウルキオラか!)」
「違うぜ。俺の役目は仲間を護ることだ」
役目を全うする為に仲間である織姫が待つ第五の塔に向かった一護の背中を見つめる。
「お願い…この世界を壊させないで。私はキミを信じてる。だから守って、キミの大切な人達を」
next…
[虚圏救出編:完結]
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