第24章 セカイ ト ヤクメ
「あはは、しませんよ。
そんな“雑魚”、隊長にあげます」
その言葉が癇に障ったのか、ノイトラの片眉がピクリと跳ね上がる。
「…死んだフリかよ、小せえ野郎だ」
「うるせえな、考えてたんだよ。腕が4本あったんじゃどれかに刀を防がれねえ為にはどうすりゃいいかってな。だがよ、考えてもサッパリ良い手が思いつかねえんだ。だから一本ずつ全部斬り落とすことにした」
「……………」
「全部斬っちゃったら戦えないですよ」
「何ィ!?…そうか、間違えた。一本残してやる」
「…ハッ、一本残してやるだァ?何だそりゃ下らねえ、気にすんなよ。どうせてめえの斬る腕はその一本で最後だ」
すると斬られた筈のノイトラの腕が再生した。
「いや、正確にはてめえは一本の腕も斬り落とすこと無くこの4本の腕に斬り落とされて終わる」
自分の命が狩られるというのに更木の口元には笑みが浮かんでいる。
「てめえが俺より弱えェからだ死神!!!」
加勢したいけど
隊長はそれを望まない
だから私はここで
二人の戦いの行方を見届ける
「ハッ!!!軽いんだよ!!ヒョイヒョイ飛ばされやがって!!攻撃が当てにくくてしょうがねえ!!それとも怖くて逃げてるだけか!あァ!?」
瓦礫の下敷きとなった更木は足で蹴飛ばして瓦礫を退かし、ノイトラの頭を鷲掴むと勢い良く地面に叩きつけた。
刀を振り下ろすが瞬時に反応したノイトラの6本の腕に阻止されてしまう。
「…ぐ…ッ」
「…何だよ…こんなもんで終いか───」
ドッ
ノイトラの剣が更木の胸を貫いた。
「馬鹿が…言ったろ。てめえは一本の腕も斬り落とせやしねえ。ただ俺のこの“6本の腕”で斬り落とされるだけだってな」
更木は口から血を吐き出す。
「…くそ…!」
「…腕が…6本…!」
「“ああいう類”は涅隊長が研究材料として欲しがるだろうな」
「オマエ…何でそんなに冷静なんだよ」
「ん?」
「あの剣八がやられそうなんだぞ!!
少しは心配するとか…!」
「あの人を誰だと思ってんの。更木剣八だよ?荒くれ者が集まる十一番隊を束ねる隊長だよ?そう簡単にやられはしない」
自信に満ちた笑みで更木を見る。
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