第22章 サンケタ ト ハクダツ
「何か理由があるのかもね」
「理由って?」
「私が知るわけないじゃん」
「なんだよ、期待しちまったじゃねーか」
「少しは自分の頭で考えたまえよ」
「…オマエほんとは知ってんだろ」
「どうしてそう思うの?」
「必死に考えてる俺の顔が見たくて知らねえフリしてんだろ」
「さあ?どうでしょう」
「ほんとマジで解んねえんだって。
知ってるなら早く教えてくれよ」
「へえーそうなんだぁ」
ニコニコと楽しそうに笑うだけで梨央は教えてくれる気はない。一護はうんざりした表情で思わずボソッと呟いた。
「…ホント性格悪ィ」
辺りはシーン…と静まり返っている。
「(ん?)」
言葉を吐き出してから数秒後、一護は何故か自分の発言に引っかかりを覚えた。
ネルはジッと不思議な顔をしている一護を見上げている。
そして梨央はニコニコ笑顔を浮かべたままだ。
「(あれ…?俺…今なんて…)」
身体中にビシビシと突き刺さるような違和感。
それがどこから来ているのか、一護は気付いていながらも気付かないフリを続ける。
そして一護は自分が発言した言葉を思い返す。
“ホント性格悪ィ…”
一護の顔から徐々に血の気が引いていくのがわかる。
それでも一護は勇気を出して、隣を見た。
ギギギ…と顔を向けた一護の目には少し涙が浮かんでいる。
「ふむふむ、なるほど。そうかそうか。キミは私のことをそんな風に思ってたのか」
「!!」
「相手をからかって遊ぶ私は心さえも歪みまくった、意地の悪い奴だと」
「そこまで言ってねえ!!……ハッ!?」
思わず本音がポロリと溢れて慌てて口を閉ざす。
だが気付いた時には既に遅く、一護は自分を呪った。
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