第2章 悪夢のはじまり
「霙チャンまじで食欲旺盛っスね」
「タワー飯があっという間に減ったな」
「早食い競争に出られるよ」
茶碗を持ち、白米を口いっぱいにかき込む霙は頬に米粒を付けながら幸せそうに食べる。
「やっぱ梨央ちゃんのご飯最高〜♪」
「霙、ほっぺたにご飯粒。」
「どこ?」
「左頬。もうちょい下。」
「むぅ〜…みっくん取れないー!」
梨央に場所を教えて探すも、上手く見つけられず痺れを切らした霙は隣で朝食を取っている雅の方を向き、助けを求める。
「はい、鏡。これで分かるよ」
「わあ!みっくん準備いいね!」
「どっから取り出したその鏡」
「テーブルの下から出て来たっス…」
「え?何…あいつ四次元ポケットとか持ってんの?タイミング良すぎだろ」
「まるで霙チャンがご飯粒を付けて取れないのを見越してたみたいな…」
「うちのメンバーある意味すげぇな」
「はは……」
げんなりする蒼生と渇いた笑みを溢す琉生。鏡を見ながら米粒を取ると、それを口に含み、またご飯をかき込む霙。雅も何事もなかったかのようにテーブルの下に鏡を戻すと朝食を再開した。
「リキュールもお疲れ様」
梨央の為に炭酸水を運んで来てくれたリキュールの頭を優しく撫でる。
「リキュールもお手伝いしたの?」
「朝食を運ぶのを手伝ってくれたんだ。実に働き者だった。キミも少し休むといい」
リキュールは褒められ、恥ずかしそうに照れた。そんなリキュールの賢さに霙は嬉しくなり、ニコリと笑みを浮かべた。
「さっすがリキュール!霙に似て天才!」
「自分で言っちゃうんスね」
「だって霙が創ったんだもーん。そりゃあ遺伝子的なものが受け継がれてるよ♪」
「まァ確かに、霙チャンの研究熱心ぶりには尊敬するっスわ」
「るーたんに尊敬されてもなー」
「不服そうな顔ヤメテ!?」
「だって女好きのるーたんに褒められてもそこまで心に響かないってゆーか」
「本心っスよ!!」
「どうせ他の女にも言ってるんでしょ。はん!この女好きのウザメンが!」
「あんまりっス…っ!!」
「ケッ!」
「なんなんスかもー…」
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