第22章 サンケタ ト ハクダツ
「(つーかコイツを怒らせるとめちゃくちゃ怖いってことは分かった。今度から気をつけよ…)」
「ところでこの子達は…?」
一護への怒りが優先ですっかり忘れていたが、敵がいた事に気付いて視線を向ける。
ヒビが入った骸骨型の仮面の名残を頭に乗せ、黄緑色の髪をした幼女と、クワガタ虫を模した仮面を付けている細身の体の男、虚そのものの姿をしており、水玉模様の服を着た生物。
「ネルは破面のネル・トゥと申スまス!!」
「へぇ、破面なのか」
「そういうアンタはどちら様スか?」
「私か?」
「とびきりの美人スねェ〜」
「そこまで誉めてもらえるなんて嬉しいな」
胸に手を添え、笑みを浮かべる。
「初めまして、私は仁科梨央。彼と同じ死神で零番隊で隊長を務めている者だ」
「たたた…Σ隊長ォォオオオ!!!?」
彼女の発言に三人は雷が打たれたような衝撃が走り、驚いた顔を揃えている。
「ア、アンタみたいな別嬪が…刀振り回すんだスか?」
「そうだよ」
「その隊首羽織、本物スか…?」
「本物じゃなきゃ着ないよ」
「わーん!!ワルモノー!!食われるー!!」
「急に失礼だな」
「そりゃビビんだろ」
「何で?」
「オマエいじめそうな顔してるし」
「……………」
「Σハッ!?」
無意識に出た自分の言葉に気付き、“まずい!”と思った一護は、そろり…と梨央を見る。
「…な、なーんて…」
「ふふふ」
「はははは…は…」
梨央はニコッと笑んだ。その瞬間、一護の顔から一気に血の気が引いた。
「今のはちが…っ!」
ゴスッ
「ぐはあっ!!」
「学習しないな君も」
再び腹パンを食らった一護は崩れ落ちる。それを見た雨竜は眼鏡の縁を指で押し上げ、呆れた。
「おかスーと思ったんだァ!!フツーの破面は『虚夜宮』に行きてえなんて言わねえもの!こーろーさーれーるー!!」
「イヤ…別に殺しゃしねえよ…」
《死神なんぞに殺されずとも…このわしがぬしらをねじり殺してくれる!!この砂の番人ルヌガンガがな!!》
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