第22章 サンケタ ト ハクダツ

「本当に驚いたよ。誰かさんの作った足場があんなにも不安定だったせいで落ちちゃったんだもん。いやァ…“私が勝手に”足を踏み外して落ちたんだからキミを責めるつもりはないんだけどね？でもさぁいっちー…？」



「(あ、なんかマズイ。)」



ずっとニコニコ笑顔を張り付ける梨央の放つ空気に一護は冷や汗を流す。



「ボロッボロの足場を走らせておいて“オマエが落ちるなんて思わなかった”は私からしてみれば“オマエがそんなドジをするなんて思わなかった”…と…言ってるようなものなんだよ」



「あ、いや…そんなつもりじゃ…」



「ああそうだ。私は何も悪くない。完全にキミが悪い。１００%、キミの責任だ。そもそもキミの作る足場に安全性は最初から無かったんだよ」



「(思いっきり責めてんじゃねーか。)」



「キミが足場を上手く作ってくれないせいで私は足を踏み外してしまったんだ。いっちーのせいで私は怖い思いをしたよ。いっちーのせいで」



「(二回言った…！)」



何も言い返せない一護に雨竜と茶渡はご愁傷様というような憐れみの眼差しを向けていた。



「どっちが悪いと思う？」



「(目が笑ってねェ!!)」



「勝手に落ちた私が悪いのか、それとも不安定な足場を作ったキミが悪いのか」



ゴゴゴ…ッと黒いオーラを身体から放ち、冷たい声で言う梨央に只ならぬ危険を感じた一護はダラダラと冷や汗を流しながら後ずさる。



「あれ。何で逃げるの？」



「…なんとなく？」



「じゃあ私もなんとなく近寄る♪」



「！！」



一護が身を引いた分だけ、ニコニコと笑みを浮かべながら梨央は一歩ずつ距離を詰める。



「やだなあ。そんなに怯えなくても食べないよぉ」



「(食われてたまるか!!)」



「で…私に何か言う事は？」



「お前が落ちたのは俺の作った足場が不安定なせいです!!全面的に俺が悪いです!!」



「それだけ？」



「っ、苦手なんだよああいうの!!今度から気をつけるって!!だからその顔はやめろ!!マジで怖え!!」



「謝罪が甘ーい!!」



ゴスッ



「グフッ!!」



腹パンをお見舞いすると一護はその場で崩れ落ちた。



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