第21章 オリヒメ ト ユウカイ
浦原に案内されて地下に進めば、巨大な空洞が広がっていた。彼は其処を『勉強部屋』と呼んでいる。
「なんて顔してんの」
「悪ィ…」
「謝らないでよ」
一護は眉を顰め、辛そうに顔をしかめている。
「随分と辛気臭い顔をしているな黒崎!」
「!」
「雨竜くんだー」
「石田…!お前…何でここに…」
「…決まってる。虚圏に行く為だ一護」
「チャド…!」
「…浦原さんから話は聞いている…俺達も行く」
「…ダメだ。気持ちはありがてえけどチャド、石田、オマエらの力じゃ…」
「一護」
茶渡は構えた拳を一護に向けて振りかざす。突然の攻撃に驚いた一護は瞬時に反応し、茶渡の拳を刀で防ぎ止めた。
「…これでも…力が足りないか…?…一護…」
「チャド…」
「二人の実力は本物だよ」
「梨央…」
「それに多勢の方が戦力を生かせる」
「…俺達を信じろ、一人で背負うな。
その為の仲間だ…!」
「そうだよいっちー。キミには素晴らしい仲間がいる。一人で背負うより、仲間と共に背負っていけ。仲間とはそういう存在だ」
二人の言葉に一護は強く頷いた。
「はいはーい、準備はいいっスかー?」
四人の決意は固まった。
「…漸く、出来たみたいっスね──準備」
破面が行き来する『黒腔(ガルガンタ)』が開く。
「中は道が無く霊子の乱気流が渦巻いています。霊子で足場を作って進んで下さい。暗がりに向かって進めば虚圏に着く筈です」
「──わかった…浦原さん」
「!」
「ウチの連中のこと頼んでいいか。俺のこと心配しないように上手いこと言ってやって欲しいんだ」
「…わかりました…お友達には?」
「…あいつらには…帰ってから謝る」
「…わかりました」
そして浦原は眉を下げ、切ない表情で梨央を見つめる。
「どうか、お気をつけて」
「心配せずとも全員で帰る。」
「その言葉、守って下さいよ」
梨央は、ふっと小さく笑むと黒腔を見上げる。
「必ず織姫ちゃんは助け出す」
「ああ──行くぜ」
一護の合図で一斉に黒腔の中に飛び込んだ。
next…