第21章 オリヒメ ト ユウカイ
「(冗談じゃない。)」
織姫ちゃんが…殺されたなんて…
《解っている。
俺だってこんなこと言いたくない。》
「(彼女は拉致された可能性が高い。殺害なんて…絶対にあり得ない。あってはならない。)」
《可能性の話をしてるんだ!情報によれば彼女は破面の襲撃を受けた後、破面と共に姿を消した──》
「…ふ…っ、ふざけんな!証拠も無えのに死んだだと!?勝手なこと言ってんじゃねえ!!」
彼は言う
戦いで手首を大怪我して
現世側の誰にも治せなかった傷を
昨日彼女に治してもらったのだと
「(でも、それが本当なら…)」
《…そうか、それは残念じゃ。》
浮竹の背後から山本が姿を見せる。
「総隊長…殿…?」
「…残念…?どういう意味だよ…!?」
《確かにお主の話通りなら井上織姫は生きておることになる。》
《しかしそれは同時に一つの裏切りをも意味しておる。》
《もし拉致されたのなら去り際にお主に会う余裕などあるまい。》
《即ち、お主の傷を治して消えたということは井上織姫は自らの足で破面の許へ向かったということじゃ。》
「バっ……」
反論しようとする一護の肩を恋次が掴む。
「止せ。これ以上喋っても立場を悪くするだけだ…お話はわかりました山本総隊長。それではこれより日番谷先遣隊が一、六番隊副隊長阿散井恋次、反逆の徒、井上織姫の目を覚まさせる為、虚圏へ向かいます!」
「恋次…!」
《ならぬ。》
「「「!!」」」
《破面側の戦闘準備が整っておると判明した以上、日番谷先遣隊は全名、即時帰還し尸魂界の守護についてもらう。》
それはあまりにも残酷な決断だった。だから我慢が出来なかった。梨央は拳をギュッと握り締め、山本を見る。
「総隊長は井上織姫を見捨てろとおっしゃるんですか」
「!」
一護は怖い顔を浮かべている梨央を見た。
《如何にも。一人の命と世界の全てを秤に掛ける迄も無い。》
「(…あの男の忠告が現実になった。)」
『近いうちにお前達は仲間を失い、新たな運命を辿るだろう。その時お前は知る事になる。どんなに強い絆で結ばれていても、結局は裏切られ、壊れることを』
.