第20章 モクテキ ト オウケン
太陽が沈み、静寂が訪れる時刻…。
「今夜はやけに静かだな…」
ゴオォォ───……
「この霊圧…!!」
破面───!!
「ついに動き始めたか」
伝令神機で敵の居場所を確認する。
「(7体…多いな。)」
でも上手い具合に
全員散らばっている
「なるほど、少しでも霊圧のある者は全て…皆殺しにする気か」
雨竜くんは今霊圧がゼロのはず
織姫ちゃんには乱菊さんと日番谷隊長が付いてる
茶渡くんにはいっちーとルキア
「とりあえず心配はなさそう」
“だが…”と怪訝しく顔をしかめる。
「何だ…この不吉な予感は…?」
妙な胸騒ぎに不安を覚えた。
「外に出るか」
自分にも追っ手が迫っているかも知れない。そう思えた梨央は部屋を飛び出す。空は深い紺碧に包まれ、不気味ささえ感じた。
「各所で既に戦いは始まっているのか」
死神化し、夜の街を駆け抜ける。
「破面…奴らの目的は一体何だ?」
ピクッ
「この霊圧は…」
口許に笑みが浮かぶ。
「ルキア…!」
死神の力が戻ったのか───!!
「これなら…」
すると梨央は足を止め、立ち止まる。
「……………」
安堵するも束の間、何者かの気配に気付き、表情を消す。
「(霊圧は上手く抑えているな…)」
警戒心を張り巡らせ、スッ…と手を背中にある斬魄刀に伸ばす。
「隠れてないで姿を現したらどうだ?」
刀の持ち手を掴んだまま、冷たく言い放つ。
「完全に霊圧を消したつもりだったが、ほんの僅かな気配に気付くとは流石は化け物と呼ばれるだけの事はある」
“化け物”
そのワードに苛立ち、眉間を深く寄せ、見えない相手に舌打ちをかます。
「姿を見せないとは無礼な奴だ。それとも…ただの臆病者か?」
ニヤリと笑い、相手を挑発する。
「さっさと出て来いよ」
すると近くの電柱の陰から人影が現れる。全身を覆った黒いマント。頭はフードで隠れ、その顔を確認することは出来ない。
大人にしては少し背が低い
声もどこか落ち着きがある
「(何より…理解できないのが…)」
コイツから殺気を感じない
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