第16章 トモダチ ト ナカナオリ
「日番谷隊長はかき氷がお好きなんですね」
「別に好きってほどでもねえけどな」
「シロップはイチゴですか」
「梨央ちゃんもかき氷好きなの?」
「好きっていうよりメニュー表にあったら頼むよ。このお店にもあったし。夏の日は風鈴の音色を聴きながら食べると更に美味しいよね」
「風鈴かぁ。心地良さそう」
「メロンとかレモンとかブルーハワイも好き。でも頭がキーンってなるのが苦手で…」
「あ、それ分かるかも」
「宇治金時ミルクも美味しいんだよねー」
炭酸水を口に含む。
「ふわっふわの氷にシロップかけてさー。少し溶けてきたところをスプーンで掬って食べるのがまた美味なんだよね」
無意識に日番谷のかき氷を見てしまう。
「食うか?」
「え!」
「そんなに物欲しそうな目で見られるとな」
「い、いやいや!それは隊長のかき氷です!確かに美味しそうだなとは思いますけど!」
メニュー表の中にかき氷はあったのだが、全種類既に完食してしまったのだ。おかげで舌に移ったシロップの色が色々混ざり合い、よく分からない色になってしまっている。
「ほら」
少し溶けかけたかき氷をシロップと共にスプーンで掬い、梨央の口元まで運ぶ。
「っ!?///」
まさか日番谷がこんなことをしてくれるのは思わなかったのだろう。驚いた梨央は恥ずかしさで頬を紅潮させた。
「どうした?溶けるぞ」
「あ、あの…これはちょっと…」
「?」
日番谷は首を傾げる。
「隊長ってば大胆ですね!それは俺が食べさせてやるからあーんしろって解釈で合ってますよね!」
「は!?///」
「そういう解釈なんスか?」
「んなわけねーだろ!///」
恋次の言葉を否定した日番谷も頬を紅潮させた。
「ふふ…」
「何笑ってんだ雛森…」
「なーんにも」
「顔が赤いわよ、梨央」
「絶対にわざとだ…」
「だって反応が可愛いんだもの」
「乱菊さんの意地悪…」
ぷくーっと軽く片頬を膨らませる。
「もういい…」
日番谷は完全に溶けきったかき氷を自分の口に含んだのだった。
next…