第15章 暴かれた真実と罪の代償
昔噺を話し終える頃には、鍛錬場は凍りついたように冷たく、静まり返っていた。
少女の犯した罪を聞かされた隊士達は驚きのあまり言葉を失い、呆けた顔で唖然としている。
「少女は決して許されぬ罪を犯した。そして一番タチが悪いのは…少女に罪の意識が無いと言うこと。人の命を奪っておいて何の罪悪感も感じず、今でも能々と生きているという事だ」
梨央はギロリと桃香を睨む。するとびくりと身体を跳ねさせる桃香の顔色は真っ青だった。
「自分の犯した罪から逃げ、その悪癖は昔より更に悪化している。私は思う。彼女は罪を償い、罰せられるべきだ」
「!!」
「あのさ…ちなみに聞くけど…」
近くにいた隊士が恐る恐る聞いてくる。
「その少女って…どうなったんだ?」
ドクンッ
桃香の心臓が嫌な音を立てた。
「死神の試験には受かったのか?」
「あぁ、受かっている」
ザワッ
そう答えれば、一気にざわつき始める。
「てコトは……え?」
「もしかすると…今でも…いるってこと?」
「嘘!?その子がこの場にいるの!?」
「(まずい…まずいわ。)」
嫌な汗が流れる中、桃香は唇が冷たくなっていくのが分かる。
「(これじゃあまるで…)」
公開裁判───。
「教えてくれ!そいつは誰なんだ!」
「誰って…目の前にいるじゃないか」
「え?」
「キミ達がよぉく知る奴さ」
梨央は嫌な笑い方でニコリと笑んだ。
「なァ?───冴島桃香?」
大きく目を見開いた桃香。
「“やっと捕まえた”」
今までずっと罪から逃げ続けてきた桃香に対して放った言葉。梨央は懐から一枚の紙を取り出し、桃香の前に突きつける。
「これが何か分かるか?」
「何よ、それ…」
「キミを地獄に落とす為の鍵だよ」
無表情になった梨央は冷たい声で言う。
「十番隊第四席、冴島桃香。四十六室から緊急捕縛状が出ている」
そして内容を読み上げる。
「罪状は下記に書いてある通りだ。己の罪を頑なに認めず、尚も逃げ延びようとするその往生際の悪さ…実に不愉快極まりない。よって罪人を…緊急逮捕する。」
「!!?」
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