第15章 暴かれた真実と罪の代償
「華月さんまで桃香をいじめるんだ…。桃香のこと羨ましいから?それとも妬ましいから?嫉妬してるの?」
「誰が貴女なんかに嫉妬するもんですか」
バッサリ切り捨てた。
「貴女のせいであたしは…」
「でも証拠は無いんでしょう?」
「!」
「そんなに桃香を悪者にしたいなら、その時の証拠を見せて?桃香がその取り巻き達を使って華月さんに嫌がらせしてる決定的な証拠」
「……………」
「あるなら桃香に見せて」
にんまりと悪い顔で笑う桃香。
桃香は知っていた。証拠などあるはずがない。そう確信があるからこそ、何も怯える必要はないのだ。
無い証拠を求められ、詩愛は悔しそうに眉を顰める。桃香は可笑しそうに笑う。
「証拠も無いのにぃ…人を疑っちゃダメだよぉ?」
「…どうしようもないわね」
桃香の底意地の悪さに呆れ返っていた。
「確かに証拠は無いわ」
「(ほぉらね。あるわけがない。)」
「でも貴女は彼を傷付けた。自分から敵を作ってしまった。よりにもよって…彼に。」
「それが何だって言うの?」
「まだ分からない?貴女は決して敵に回してはいけない人に喧嘩を売ったのよ」
「!」
「その覚悟があるからこそ、貴女はここにいるんでしょう?」
「(何言ってんの…この女。)」
「隊長さん。もう彼女は“駄目”だわ。これ以上は時間の無駄」
「そのようです」
「無駄足だったかしら…」
詩愛は心のどこかで信じていた。桃香が自らの過ちに気付き、罪を認めてくれることを。
だが、その思いは桃香に全く届かず、呆れた詩愛はこれ以上の話し合いを諦めた。
「貴女の説得でも応じませんか」
頭に手をやり、呆れて溜息を吐く。
「筋金入りの悪女ですね」
侮蔑する言葉に桃香は流歌をキッと睨みつける。
「まだ罪を認めないと言うなら仕方ありません。こちらも最後の手段に出ます」
「最後の手段?」
「僕の“正体”を明かせば全て終わるんだろうけど…残念だな。遊興は幕閉じか。この格好も気に入ってたし名残惜しいけど…もう少し“神崎流歌”でいたかったな」
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