第15章 暴かれた真実と罪の代償
「言い訳なんて見苦しいぜ」
「桃香ちゃんから告白を断られて逆上したお前がナイフで刺したんだろ!」
「(全く話にならないな…)」
一方的に悪者だと決めつけられた挙句に何度説明しても通じない事で流歌は苛立ちを募らせ、小さく舌打ちをする。
「とりあえず…邪魔なんで退いてください」
「何だと!?」
「詩調」
瞬歩で現れた詩調は、取り巻き達の後ろ首を軽く叩いて気絶させた。倒れる隊士達を見て桃香は驚いた表情を浮かべる。
「安心して下さい、気絶させただけです」
守るものが無くなった桃香は恐怖に染まる顔で目の前に立つ流歌を見る。
「どうして…こんなことするの…?」
ぶわりと涙を溢れさせた桃香はその場に座り込む。
「桃香…ヒック…何もしてないのに…どおしてこんな酷いことするのぉぉ…」
両手を目に当てて、えぐえぐと泣き真似を始める桃香。それを見た取り巻き達の心は一瞬で彼女の下手な演技に囚われる。
「分かり易い演技ね」
「嘘泣きってバレバレ〜」
「それを見抜けないあいつらも馬鹿だわ」
「ほーんと低脳なクソ犬w」
両手で顔を隠し泣いている桃香とそれを慰める隊士達を見て気持ち悪そうに見遣る二人。霙に至っては無邪気な笑みで辛辣な言葉を吐いた。
「いい加減にしろよてめえ!!」
「桃香ちゃんをここまで追いつめて最低だぞ!!」
「これ以上何をしようってんだよ!!」
「何って…約束しましたよね?」
“真実の解明”
「僕は彼女にそれを問うてるだけです」
「だからって泣くまでやることかよ!!」
「ええ、やります。
だって彼女…嘘泣きですから」
「!」
流歌の言葉に反応したのは桃香だった。実際に彼女は泣いてはいない。目から流れる涙も出そうと思えば出せるのだ。
「僕は簡単に落ちませんよ。貴女が被り続けてる仮面を…必ず引き剥がします」
くすりと笑えば、隠された手の中で桃香の顔がぐしゃりと怒りと屈辱で歪んだ。
「説明するより先にコレを見せた方が早いですね」
持って来ていた小型映像装置を出す。手を外し顔を上げた桃香はキョトンとする。
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