第14章 零番隊vs護廷十三隊
「!?」
その言葉に意味が解らず、戸惑う。
「(何言ってんだ…こいつ。)」
あまりの驚きで絶句している。
「俺が…蛇尾丸から認められてないだと…?」
ギリッと握り拳に力が込もる。
「本来なら蛇尾丸の姿は…」
「もういい、喋んな」
「……………」
「てめえが蛇尾丸の何を知ってるってんだよ」
「何も」
「だったら知ったような口を…」
「でも僕は…全ての斬魄刀の真名を知っている」
「!」
「だからこそ訣る。その子…蛇尾丸は…」
そこで一旦言葉を止め、瞬歩で恋次の視界から消える。
「!?」
気付いた時には流歌が目の前にいて、真剣な表情を浮かべていた。
「キミを主人だと認めていない」
梨央に戻ったことで全てが変わる。顔つき・口調・話し方・声のトーン・態度・雰囲気・空気…彼を取り巻く全ての存在がガラリと豹変した。
それに驚いた恋次は一瞬の隙を与えてしまう。もちろん流歌が見逃すはずも無く…。
ガッ
胸ぐらを掴まれた恋次は手首を掴み、引き離そうとする。
「(くそ…ビクリともしねえ!)」
「一つ聞かせて頂けますか」
口調と喋り方は流歌のままだ。けれど彼の纏う雰囲気と空気が別人のように思えた。
「あなたは本当に冴島桃香を信じられるのですか?」
「どういう意味だ…」
「彼女の全ては正しい…そう思えますか?」
「!」
恋次の脳裏に浮かぶのは“あの時”だった。男隊士達に紛れる中で一際小さく見える『可憐』で『愛しいお姫様』。けれど恋次は見てしまったのだ。
どんな時も笑顔を絶やさない優しい桃香の表情が、ぐしゃりと醜く歪む瞬間を───。
「(…違う。あれは錯覚だ…)」
何度そう自分に言い聞かせただろう。あれは幻だ。きっと見間違えただけだ、と…。無理やり結びつけようとした。
「(桃香は何も悪くない。あれは見間違いだったんだ。桃香があんな…)」
「冴島桃香は神でも女神でも聖女でも無い。だが…その仮面を被り続けている『悪魔』だとしたら…キミはどうする?」
「!!」
「それでもキミは最後まで彼女を信じきれるか?」
「お、前……」
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